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10年かけて取得したハル・ベリーの本作への思い

 10年もの長い歳月をかけて獲得した本作の映画化権だが、ハル・ベリー自らがプロデューサーも兼ねてやるほど本作には特別な思い入れがあった。解離性同一性障害に苦しむひとりの女性の実話を初めて知ったとき、「この話はとても深いところで私の心を揺さぶったの。人種が入り混じった家族に生まれた子供として、私は自分を重ね合わせ、このキャラクターに共感したわ」。ベリーは、怒りを抱えた白人人種差別主義者という別の人格を持つ若きアフリカ系アメリカ人女性を、人種が入り混じった人々に影響を与える多くの問題の縮図と考えた。「それは、これまでの私の人生で常にある問題の一つだった。彼女はとても魅力的で、私だけが命を吹き込めるキャラクターに思えたわ。それは彼女の混沌とした状況を私が根本的に理解していたからなの」。

徹底的なダンスレッスン

 No.1人気ストリッパーを演じるにあたり、ハル・ベリーは吹替のダンサーを断った。「70年代のストリップ・ゴーゴーダンスはとても官能的なの。フランキーが初めて紹介されるシーンだから、あのダンスを自分で踊ることが重要だと思ったの」と、エミー賞ノミネート経験のある振付家キム・ブランクと2ヶ月間猛特訓に励んだ。ベリーは、マーヴィン・ゲイの楽曲「Let’s Get it On」をフルレングスで踊る決意をし、4分近い長さのこの曲に合わせて一日中踊って撮影に臨んだ。その準備のために彼女は激しい練習で足の打ち身に苦しんだ。しかし、産後すぐの仕事とは思えない見事なプロポーションを惜しげもなく披露し、セクシーで印象的なダンスシーンが完成した。

オズ博士のキャスティングについて

 フランキーを絶望から救ってくれるサイコセラピストのオズのキャスティングは非常に重要だった。ステラン・スカルスガルドが演じることを知ったベリーは歓喜のあまり泣き出したという。スカルスガルドは本作の脚本をすぐに気に入り「見事に書かれた演じがいのある作品だ。どんな小さな役でさえ、全てのキャラクターに自分自身の人生があり、行間には俳優が埋められる大きな可能性がある」と述べている。
オズ博士に関しては、患者にも普通の人にも不器用な人間だと説明する。「オズは全てを文字通りに受け取り、皮肉を理解しない。彼は非常に知的だが自分の感情はよくわかっていない。フランキーがある意味、彼の殻を破っていく。そして彼は彼女の心を開き、彼女が本当の自分を見つける手助けをするんだ」。さらに、「観客には二人の壁が最初よりも最後に向かって少しずつ消えていく様子を感じ取ってほしい。そこにはある種の愛情があるんだ」と言う。